高圧線下の不動産の価格はどれだけ安くなる?

皆さんのご家庭に電気を届けるもととなる送電線や高圧線が、不動産価格に及ぼす影響をご存じでしょうか?

高圧線って何?

 一般的には鉄塔から鉄塔を結ぶ送電線を高圧線といい、専門的な定義では、高圧線は電圧によって次の3種類に分かれます。(電気事業法:電気設備に関する技術基準を定める省令 第二条)

・低圧: 直流で750ボルト以下、交流で600ボルト以下
・高圧: 直流で750ボルト超~7000ボルト以下、交流で600ボルト超~7000ボルト以下 の電圧
・特別高圧: 直流・交流ともに7000ボルト超の電圧

不動産価格にどんな影響があるの?

高圧線等により不動産の価格が下るケースは次の3つです。
①電圧17万ボルト以上で建物が建てられない場合
 電圧が17万ボルト以上の場合は、鉄塔下の敷地だけではなく、一番外側の電線の真下から水平距離3m(垂線下水平距離3m)かつ定められた離隔距離(電線が最も下がった位置からの距離)を保った位置でなければ、住宅など建物を建てることができません。
(イメージ図:東京電力ホームページより抜粋)

②電圧17万ボルト未満で高さ制限がある場合
 電圧が17万ボルト未満の⾼圧線では、建物の⾼さに制限があります。⾼圧線の最も低い位置から3m(またはそれ以上)の範囲に建物が建てられません。
(イメージ図:東京電力ホームページより抜粋)

③電圧17万ボルト未満で高さ制限はないが、嫌悪施設となる場合
 17万ボルト未満で⾼さ制限はないが、⾼圧線そのものが嫌悪施設となり、価格が下がってしまうケース。

ではそれぞれどの程度価格が安くなるのでしょうか

①は建物が建てられない範囲の不動産価格がおおよそ50%(※後記参照)になる
②は(またはそれ以上)の計算が複雑で一般の人では分かりにくい
③は個人の主観によるものであり、またエリアによって違う

・心理的不快感
・強風時の風切り音による騒音
・眺望阻害
・危険感(地震時や台風時に電線が切断など)
・威圧感や圧迫感
・テレビやラジオなど放送電波への影響
・電磁波による健康被害
 
 いずれの場合もほとんどが電気事業者、土地所有者間で土地に地役権設定がされているか、送電線架設保持に関する契約(債権契約)が交わされています。

嫌悪施設とは 

 嫌悪施設とは、その存在が周囲の人から嫌われる施設のことです。嫌悪施設に対する考え方は人それぞれです。また、電磁波による健康被害のリスクは賛否両論がありまだ良く分かっていません。地価が高いエリアでは、嫌悪施設の影響が大きい傾向があります。

高圧線下地って何?

 「特別高圧」(7000ボルト以上)の送電線の下に位置する土地を、「高圧線下地」といいます。この「高圧線下地」における土地の利用は、高圧線の電圧に応じて一定の建築制限が課されることから、土地の価値が下がることが一般的です。

※減価率の目安に明確な規定はない
 ここでは国土交通省の損失補償取扱要領と経験的な数字を目安にしましたが、高圧線下の減価率について、明確な規定はありません。専門家が査定する際の目安として、次の基準が利用されます。

  • 大蔵省通達による基準
  • 相続税財産評価基本通達
  • 電気事業者の減価率の一例
  • 収用委員会の裁決例

◆鑑定評価上の一般原則

 初めて見るような単語が多くてなんだか難しいですよね。
不動産の適正な価格を知りたい時には、不動産鑑定士にご相談ください。

上記のケース以外でも…
・不動産を売買・交換・賃貸借する時
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