相続税減額のための鑑定評価

相続の申告に使われる財産評価は時価とされています。
しかし、実際には申告期限までにすべての不動産の適正な時価を把握するのは困難なので、画一的・簡便的な評価方法である財産評価基本通達(路線価等)に基づく評価額を時価とみなしています。
(※相続税路線価は、簡便的な方法による評価額が本来の時価を超えてしまうことの無いように評価の安全性を考慮して時価の8割水準に設定されています。)

但し、不動産は個別性が強く、画一的に評価することは困難で、路線価等による評価額が、実際の時価を上回ってしまう場合もあります。
このような場合には、適正な時価を証明した不動産鑑定評価による価格で申告することにより、相続税が減額できるのです。

※平成4年3月、国税庁は、相続税の申告における土地の評価は原則的に路線価が基準とされるが、路線価に基づく評価額が「時価」を上回った場合に、申告や更正の請求の相続がある場合、路線価に基づく評価額でなければ受け付けないということがないように留意する旨、国税局に事務連絡をしています。

路線価は公示価格等の8割水準とされているため、一般的な不動産であれば相続税路線価が本来の時価(=鑑定評価額)を上回ることは少ないと考えられます。

路線価評価(財産基本通達による) < 不動産鑑定評価(時価評価)
※この場合、不動産鑑定評価は不要

しかし、以下のような個別的要因が強い不動産については、路線価評価額が本来の時価を大きく上回ってしまう可能性があります。

特殊な不動産

  • 無道路地
  • 私道(位置指定道路)
  • 不整形地
  • 広大地に該当する可能性のある土地(500平方メートル以上)
  • 広大地に該当しなかったが、路維価評価より時価が低くなる土地
  • 市街化調整区域内の山林・雑種地
  • 間ロが2m未満の土地
  • 奥行が長い土地
  • 傾斜地
  • 崖地
  • 築年数が古い建物がある土地
  • 忌地・土壌汚染のある土地
  • 道路との高低差がある土地
  • 古いマンション
  • リゾートマンション・別荘
  • 境界がはっきりしない土地
  • 地下埋設物・埋蔵文化財のある土地
  • 高圧線下の土地等

このような特殊な不動産の場合は不動産鑑定評価が必要です!

すでに申告してしまった場合「相続税還付の不動産鑑定評価」
既に申告し、相続税を支払っていた場合でも、不動産鑑定評価書や広大地判定意見書等を添付せずに申告した場合等は、更正の請求(相続の開始を知った日の翌日から、1年10か月以内)や嘆願請求(相続の開始を知った日の翌日から、5年10か月以内)なら、不動産鑑定評価書を添付して、税務署に提出することで、申告時の不動産評価を下げて再度申告することにより過払いの相続税を還付してもらえる可能性があります。

遺産分割のための不動産時価評価

遺産分割を行う場合、相続税申告に利用した「財産評価基本通達」(路線価等)による評価額を採用する場合が多くなっています。しかし、この評価額は、相続税額を簡便的・画一的に計算するための評価方法であり、不動産鑑定評価を行って算定された本来の時価と大幅に異なる場合もあるのです。

よって、公平に分割したつもりであっても、実際の時価を比較すると不公平な分割になっていたケースもあり、路線価等による遺産分割はトラブルの元となっています。公平な遺産分割のためには、不動産鑑定による時価評価をお使い下さい。

弊社では、すべての不動産について相続税申告額と時価の対応表をご提示した後、時価評価が必要な不動産のみ鑑定評価書の作成を承っています。
まずはリストを作成いたしますので、お気軽にご相談下さい。