相続した不動産の調べ方

・不動産は...

 土地と建物はそれぞれ別々の不動産です。

 別々の財産なので、先祖代々の土地の上に自宅が建っている場合、土地は祖父や曾祖父名義のままで、建物は父親の名義になっているということもあります。

※前回のブログでお伝えしましたが、相続登記義務化になりますので、ご注意ください。

・土地は「地番」、建物は「家屋番号」...

 土地や建物には、法務局(国)が割り振った「地番」と「家屋番号」があります。これらは、1つの不動産ごとに割り振られていて、その土地や建物を特定するために欠かせないものです。

 市町村などによって異なりますが、いつもよく使われるものは「上尾市柏座2丁目8-10」という「住所」を使っていますが、これは「住居表示」といって、地番や家屋番号とは全く異なります。「住所(住居表示)」は、「その人がどこに住んでいるのか」など人の特定に使うためのもので、基本的に市町村などで決めています。

 一方、「地番」や「家屋番号」は不動産を特定するためのものです。

 市町村によって「地番」と「住所(住居表示)」が同じ場合や似ている場合もあります。ちなみに先ほどの「住所(住居表示)」は弊社の住所です。「地番」は「上尾市柏座2丁目439番1と439番5」の2筆です。

 土地や建物を特定するには、この「地番」と「家屋番号」が必要になります。

 相続した不動産を調べるためには、不動産の所在と土地や建物の「地番」と「家屋番号」を調べることになります。

■自宅調査...

 まずは、自宅内で書類を探してみましょう。不動産の情報をまとめていたり、最近では相続準備をしている方も多いです。

・納税通知書...

 納税通知書とは、役所から毎年4月~6月初旬ごろに送られてくる、固定資産税や都市計画税の通知書です。この通知書には、固定資産税が課税されている不動産であれば、必ず記載されています。まずは、課税されている土地の「地番」や建物の「家屋番号」を把握しましょう。

・権利証(登記識別情報通知)...

 納税通知書には、課税の対象になっている不動産しか記載されていません。評価額が課税額に達していない私道などを所有している場合は、納税通知書には記載されません。郊外の山なども同様です。納税通知書に記載されない不動産は、まず「権利証」(登記識別情報通知)で確認します。「地番」や「家屋番号」が記載されています。
 「権利証」は、不動産を購入して名義変更の登記をしたときや、建物を新築し、登記をした際に、法務局から発行されます。冊子になっていることが多く、表紙には「不動産登記済権利証」と題名がつけられています。
 最近では、権利証に代わって「登記識別情報通知」というA4版1枚の用紙が発行されるようになっており、表紙には「不動産登記権利情報」や「登記識別情報」などの題名がついています。
権利証や登記識別情報通知は、自宅で保管される方がほとんどなので、大事な書類が保管されている場所を探してみましょう。権利証(登記識別情報通知)が見つからない場合でも、下記の「名寄帳を取得」をご参照ください。

■役所調査...

 役所調査は、その役所の管轄内にある不動産のみです。管轄外にある不動産は調査できません。埼玉県上尾市と東京都千代田区に不動産がある場合は、埼玉県上尾市の不動産については上尾市役所で、東京都千代田区の不動産については都税事務所で調査する必要があります。

 調査する相続人と亡くなった被相続人の相続関係を証明する「戸籍謄本」が必要ですので、ご注意ください。

・名寄帳を取得

 名寄張は、市区町村等が管理している課税台帳です。納税する人ごとに、その所有する土地や建物の一覧が記載されています。また、固定資産税の課税対象になっている不動産のほか、非課税不動産の「地番」や「家屋番号」を知ることができます。

 自宅前の道路が私道であったり、開発業者による分割分譲などで自宅を購入された場合は、ゴミ置場の持分などを持っている可能性もありますので、名寄帳の取得をおすすめします。また、役所では「共有名義の名寄帳もお願いします」と伝えなければ、共有名義の名寄帳をもらえないのでご注意ください。

(参考)役所調査のついでに

固定資産評価証明書の取得をおすすめします。固定資産評価証明書は、固定資産税を課税する際の不動産ごとの評価額が記載された書類ですが、後々の相続登記(名義変更)の手続きの際に、必ず必要になる書類です。

■法務局調査...

■法務局調査...

 役所調査で相続財産の「地番」と「家屋番号」を把握した後は、法務局で登記簿謄本を取得です。一つの法務局で、日本全国の不動産の登記簿謄本を取得できます。また、登記簿謄本は誰でも取得できる書類なので、戸籍や身分証明書は不要です。

・登記簿謄本(登記事項証明書)の取得

 登記簿には、所有者や権利関係など、不動産に関する情報が記載されています。表題部と権利部(甲区と乙区)から成り立っていて、過去の履歴も記載されています。不動産鑑定評価の調査でも欠かすことができません。

・登記簿謄本(登記事項証明書)の取得方法

 登記簿は不動産が主体となっている情報なので、所有者の名前では調査することができません。役所調査で調べた土地の「地番」や建物の「家屋番号」が必要です。

 不動産の所在地「上尾市柏座2丁目」に加えて、「地番」や「家屋番号」で不動産を特定して、登記簿(登記事項証明書)を取得できます。

 登記簿に現在の所有者として亡くなった方(被相続人)が記載されていれば、その不動産が相続手続きの対象となる遺産であることが分かります。

 また、「抵当権」や「根抵当権」などの登記がされている場合、その不動産が借り入れの担保に入れられていることになります。抵当権など、所有権以外の登記は、登記簿の「権利部(乙区)」という部分に記載されているので、こちらも注意して確認する必要があります。

※登記簿はインターネットで取得する方法もあります↓

登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと (moj.go.jp)

■まとめ...

 今回ご紹介したように、ご自身で調べることができますが、お仕事の都合上、市役所などが開庁しているときに調べられない場合は、司法書士さんなど専門の方に調べてもらうことも可能です。

 相続が発生する前から不動産については、ご両親とお話をしておいた方が後々困らなくて良いと思います。

 また、相続した不動産の評価額を知りたい時は、ぜひお気軽にご相談ください。