区分所有建物及びその敷地の評価

1.区分所有建物及びその敷地とは

 区分所有建物及びその敷地とは、不動産鑑定評価基準によれば、下記のとおりです。

 「区分所有建物及びその敷地とは、建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分並びに当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分及び同条第6項に規定する敷地利用権をいう。」(不動産鑑定評価基準 総論 第2章 国土交通省)

 代表的なものは、居住用のマンションですが、事務所、店舗等もあります。

2.区分所有建物及びその敷地の評価

 区分所有建物及びその敷地の評価をする場合、自用なのか賃貸されているのかで分けられ、不動産鑑定評価基準には次のように記載されています。

①専有部分が自用の場合

 「区分所有建物及びその敷地で、専有部分を区分所有者が使用しているものに ついての鑑定評価額は、ア)積算価格、イ)比準価格及びウ)収益価格を関連づけて決定するものとする。」(不動産鑑定評価基準 各論 第1章 国土交通省)

②専有部分が賃貸されている場合

 「区分所有建物及びその敷地で、専有部分が賃貸されているものについての鑑定評価額は、実際実質賃料(売主が既に受領した一時金のうち売買等に当たって買主に承継されない部分がある場合には、当該部分の運用益及び償却額を含まないものとする。)に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定するものとする。」(同上)

 評価の手法としては、自用の場合と略同じですが、賃貸されている場合には実際の賃料や費用に基づいた収益価格を試算します。

3.評価例(①専有部分が自用の場合)

 7階建分譲マンションの4階に位置する403号室を所有者自身が使用していると仮定し、どのように評価するのか具体的に見てみましょう 。

 ア)積算価格、新たにマンションを建てる場合にかかる費用を求め、築後年数や管理の状況等に応じた減価をして、一棟の建物と敷地の価格を試算します。次に、所有しているマンションが所在している403号室の階層別(対象である403号室が所在する4階と他の階との比較)及び同一階層内の位置別の効用比(同じ4階にある他の部屋との比較)により求めた配分率を乗じて求めます。これにより、階層や位置による居住の快適性、利便性等を価格に反映させることができます。

 イ)比準価格は、周辺にある類似したマンションがどのくらいで取引されているかという市場性の観点から試算価格を求めます。その際、実際に取引された複数のマンションの所在する地域の格差(交通利便性・環境等)及び個別性(築年数・階層・方位・角部屋・施設の状況等)を比較します。

 ウ)収益価格は、賃貸に出した場合の家賃収入・管理に必要な費用などを適切に見積もり、総収入から総費用を差し引いた純収益を還元利回りで資本還元し、収益性の面からマンションの価格を試算します。

 以上のように求められた各試算価格を各手法の持つ特徴、試算過程や採用した資料の有する特徴、対象のマンションにかかる主な需要者等を再吟味して鑑定評価額を決定します。

 また、分譲マンションの評価にあたっては、専用使用権(特定の区分所有者のみに認められている駐車場使用権、バルコニー使用権、専用庭使用権等)や管理費の滞納状況、修繕積立金に対する積立状況等についても留意が必要です。

4.まとめ

所有しているマンションを売りたい、買い替えたい、離婚で財産分与が必要、相続 が発生し、遺産分割の必要があるなど適正価格をお知りになりたい場合は、是非、不動産鑑定士にご相談ください。