地番と住居表示の違い

不動産の所在地を表す表記方法には「地番」と「住居表示」があります。今回はこの二種類の表記の違いについてのご説明をしたいと思います。

ちなみに、弊社の地番は「上尾市柏座2丁目439番5」  住居表示は「上尾市柏座2丁目8番10号」です。

・「地番(ちばん)」は、法務局が定めた土地の区分番号

地番とは一筆ごとの土地ごとに付されている番号のことです。法務局は土地登記の管理をおこなうために一筆ごとに地番を割り振っています。「一筆」とは土地を数えるための単位で、土地の登記簿上で一個の土地であることを表します。地番を定めることで土地の登記情報から所有権や徴税額を明らかにすることができます。

ただし、地番は全ての土地に付されているわけではありません。あくまで登記が必要と考えられる土地のみにつけられるもので、所有権が明らかで納税が不要な国有地には地番の設定がありません。また、登記自体がされていない未登記の土地の場合も地番はありません。

地番制度は、明治4年の地券制度により、土地の所有者に対する徴税の目的のため、土地の符号としてつけられたことが始まりです。その後、明治19年の不動産登記制度の実施に伴い「土地の表示」として用いられ、さらに明治31年の戸籍法の改正に際し、本籍の表示として「番地」という呼称で用いられたものが、今日、住所の表示にも一般的に使われることになったのです。

・「住居表示(じゅうきょひょうじ)」は、住居表示に関する法律(住居表示法)に基づいて市町村が定めた住所

住居表示は郵便物などを出す場合などに使われている住所のことで、普段の生活の中で住所といえば、この住居表示のことを指しています。住居表示では建物は町名・街区符号・住居番号で表記されており、住居表示の決定は各市町村によっておこなわれています。住居表示は建物を建てた所有者が役所に住居表示申請した後、役所の担当者が現地で建物の位置を確認します。その後「〇〇市〇〇町▲▲番■■号」といった住居表示が割り振られます。

かつては住居表示ではなく、地番が使われていた時代もありました。住居表示法が施行された1962年より前は、住所は慣習的に地番を用いてきました。例えば、〇〇1丁目◯◯番の土地の住所は、◯◯1丁目◯◯番地というように、いわゆる町名番地によって行われてきました。明治~昭和初期は、遠くの場所を訪ねる人、郵便、宅配物の数が少なかったため、地番を住所に併用することに問題はありませんでしたが、戦後の人口増加や、交通、流通の発達により、地番を住所の表示として用いることが極めて不便なものとなり、住所を特定することは容易ではなくなりました。この解決策として導入されたのが、住居表示法に基づく住居表示制度です。住居表示の住所は、町名・字名(あざめい)と地番ではなく、町名・字名と街区符号(がいくふごう)と住居番号、または道路の名称と住居番号で表されます。住居表示とは、不動産登記で使われている地番を転用して住所を表示していた方法を改め、郵便物などが目的の場所に確実に到着するよう、住所の表示をわかりやすくするための制度なのです。

住居表示が実施されていない地域(住居表示未実施地区)は、地番が住所として使われており、実施地域、未実施地域については、各自治体の公式サイトなどで確認できます。市町村が、住居表示でなく地番のままでも徴税や登記上の目的、住所としての利用目的の点で不都合がないと判断した地域では地番と住居表示が同じという場合もあります地番と住居表示で一番大きな違いとして挙げられるのは、利用方法の違いになります。地番は土地の場所、権利の範囲を表すための登記上の番号で、住居表示は建物の場所を表す番号ということができます。地番は登記で使うもの、住居表示は郵便配達などで使うものと考えれば良いでしょう。

・最後に地番を調べる方法についてご紹介します。

◆登記識別情報・固定資産税納税通知書で調べる

ご自分が所有している土地の場合には登記が完了した際に通知される「登記識別情報」か「登記済証(権利証)」で地番を調べることができます。また、毎年5月頃に所有者宛に送付されてくる「固定資産税納税通知書」上でも地番を確認することが可能です。

◆ブルーマップで調べる

ブルーマップとは、㈱ゼンリンが発行する地図帳です。ブルーマップは、登記所備え付けの公図を通常の住宅用地図の上に重ね合わせることで、住所(住居表示)を元にして地番を調べることができるようにした地図です。ブルーマップでは公図と地番については青字で表記され、住居表示は黒字で示されているので、地番と住居表示は一目瞭然で区別できます。ブルーマップは市販されていますが、法務局や市町村役場のほか、国会図書館や地域にある中央図書館でも閲覧可能です。

◆法務局に問い合せて調べる

 調べたい地域の地番についてはその地域を管轄する法務局に電話で確認することもできます。

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html

◆インターネット上で調べる

登記情報提供サービス」というサイト内の地番検索サービスで調べることができます。こちらは無料で調べることができます。サイトのトップページから、一時利用の「利用申込」を選択します。地番を検索するだけであれば無料ですが、検索した結果、実際に登記資料のデータを取得する場合は、有料になります。

地番というと、私たちが普段生活の中で使う住所に比べるとあまり馴染みはないかもしれません。住所ほど使うシーンは多くありませんが、たとえば不動産登記関連の手続きをする際には必要になります。住所だけでは手続きができませんので、この機会にご自宅の地番を調べて準備してみてはいかがでしょうか