土地の分割
今年も残すところあと1ヶ月となり、寒さが日に日に厳しくなってきました。インフルエンザが流行っているようですが、年末に向けて忙しい中、体調管理には気を付けたいところです。
さて、今回は土地の分割について、少しお話ししようかと思います。
土地を分割するときとは、どんな場合が考えられるでしょうか。
・相続が発生し、相続財産が不動産のみの場合、一部を分割、売却して納税にあてる。
・相続が発生し、相続人が複数人いる場合、一部を売却して金銭で清算をする。もしくは、分割した土地の価格が同等となるように分割する。
・今まで使っていたが、不要となったため一部を分割、売却する。
ほかにも理由は考えられますが、土地を分割する際には気を付けたいことがあります。元々持っていた土地、売却した土地、残った土地、または分割した複数の土地の価値はどう変わるか、また、分割した後の土地を今までと同じように利用できるのかなどです。
ア.分割後の土地価格
具体的な例を挙げて、見てみます。
Aさんの土地が300㎡あり、土地の㎡単価が200,000円としましょう。
総額は200,000円/㎡×300㎡で60,000,000円です。
相続が発生し、相続人BさんとCさんで上図のように中央で2分割したとすると、どちらの土地も道路の接面状況、形状、地積は同じで両者が相続する土地の価値は同額となりそうです。そして、元の土地より安くなることもなさそうです。大規模画地に比べ、小規模画地の方が、単価が高い場合もあるので上記の場合は価値の目減りもなさそうです。
では、次のような土地を分割をした場合はどうでしょうか。
形状は同じですが、間口と奥行の長さが上図と逆で道路に接面している部分(間口)の中央で分割してしまうと細長い土地になってしまいます。(図1)
そこで、地積は2等分になるように分割しますが(図2)、②の土地は形状が劣り、間口も狭くなり、土地の単価は①より②の方が安くなってしまいます。仮に②の土地が10%減価になると、
- の土地 200,000円/㎡×150㎡=30,000,000円
- の土地 180,000円/㎡×150㎡=27,000,000円
となり、地積が同じでは、②を相続する方が損をして、納得できないといことになるかもしれません。
不動産鑑定では、このような場合、土地の価値が同等となるような分割の提案もできます。
イ.分割後の土地利用
土地を分割した場合、土地の価値が不均等になってしまうことがあるほかにも現在建物が建っている建物が、「既存不適格」になってしまうこともあります。
「既存不適格」とは、建築した当時は適法な建物だったものの、法律の改正によって現在では適法ではなくなったものを指しますが、土地の分割によって、建蔽率や容積率が既定の数字を超過してしまったり、接道義務(幅員4メートル以上の道に敷地が2メートル以上接していないと家は建てられない)を果たせなくなったりする場合におこります。
上図を例に接面街路の幅員が4m、建蔽率が60%とします。
元の土地上に建築面積が100㎡の建物が建っていたとします。もともと300㎡あったので、100㎡の建物の建蔽率は33.3%となり、問題はありません。しかし、分割後の①上に元の建物が建っているとすると、土地の面積が150㎡になってしまうので、建蔽率は60%を超えてしまい、「既存不適格」となります。また、②の土地の間口が2m未満になるような分割をすると、接道義務を果たしていないので、建物を建築することができなくなります。また、2m以上であっても、②のような路地のような土地によって接道する敷地ですと、建築できる建物の用途も限られてくる場合もあります。ほかにも、「最低敷地面積」が決められている市区町村などがあり、例えば、最低敷面積が100㎡と決められている場合、分割した後の土地が100㎡未満になってしまうと建物の建築ができなくなることがあります。
このようなトラブルを避けるためにも土地を分割する場合は専門家に相談することをお勧めします。