埋蔵文化財包蔵地
はじめに
埋蔵文化財という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
「埋蔵文化財とは,土地に埋蔵されている文化財(主に遺跡といわれている場所)のことです。埋蔵文化財の存在が知られている土地(周知の埋蔵文化財包蔵地)は全国で約46万カ所あり,毎年9千件程度の発掘調査が行われています。」
文化財保護法では,周知の埋蔵文化財包蔵地において土木工事などの開発事業を行う場合には,都道府県・政令指定都市等の教育委員会に事前の届出等(文化財保護法93・94条)を,また新たに遺跡を発見した場合にも届出等を行うよう求めています(同法96・97条)。出土した遺物(出土品)は所有者が明らかな場合を除き,発見者が所管の警察署長へ提出することになっています(同法100条)。
土木工事等の開発事業の届出等があった場合,都道府県・政令指定都市等の教育委員会はその取り扱い方法を決めます。そして協議の結果,やむをえず遺跡を現状のまま保存できない場合には事前に発掘調査を行って遺跡の記録を残し(記録保存),その経費については開発事業者に協力を求めています(事業者負担)。ただし,個人が営利目的ではなく行う住宅建設等,事業者に調査経費の負担を求めることが適当でないと考えられる場合には,国庫補助等,公費により実施される制度があります。」(文化庁のHPより)
相続した土地が埋蔵文化財包蔵地だったら
相続税評価において埋蔵文化財包蔵地の評価方法は、財産評価基本通達に定められてはいませんが、埋蔵文化財包蔵地に該当する場合、発掘調査に必要な調査費用相当額の80%が評価減として認められています。ただし、埋蔵文化財包蔵地に該当するだけでは減価は認められず、発掘調査等に費用が発生する場合に減価できる点に注意が必要です。結果によっては相続時の負担を減らせる可能性もあります。
埋蔵文化財包蔵地の不動産鑑定
不動産の鑑定評価における埋蔵文化財包蔵地については、設計変更に伴う費用負担、土地利用上の制約等により価格形成に重大な影響を与える場合があります。
- 周知の埋蔵文化財包蔵地に含まれるか否か
- 埋蔵文化財の記録作成のための発掘調査、試掘調査等の措置が指示されているか否か
- 埋蔵文化財が現に存することがすでに判明しているか否か
- 重要な遺跡が発見され、調査が行われる場合には、土木工事等の停止または禁止の期間、設計変更要否
以上の点に留意の上、埋蔵文化財が存しない土地の価格から、発掘に要する期間、費用負担を考慮して費用相当額を減額して鑑定評価を行います。
相続税評価では発掘調査費用の80%が減額されるというお話をしましたが、鑑定評価では工事期間の延長や建築制限等による減価要因を適切に判断し、土地の評価額を求めます。
例えば、発掘調査が必要になると、調査に係る費用のみならず工事期間の延長により金利負担が発生します。計画変更となる場合には設計の見直しや諸手続きの費用も加算され、売買などでは取引時期の遅れなども出てきます。これらの複合的な要素を勘案して減価します。
ただし、個人住宅を建築する場合などは試掘や発掘費用が公費でまかなわれる場合もあるので、埋蔵文化財包蔵地に該当するからといって、必ず減価されるとは限りません。
さいごに
埋蔵文化財については市区町村の教育委員会等で確認できますが、市区町村のホームページに載っている場合もありますので、ご自分が所有している土地が該当するか簡単に知ることも可能です。
上尾市内には約250ヶ所の埋蔵文化財包蔵地が県に登録されていて、「あげおガイドアピマップ」でも確認できます。