CADを使用して求積をするとき
公簿面積・実測面積という言葉は聞いたことがあるでしょうか?
公簿面積とは登記簿に表記されている面積、実測面積とは実際に測量をした面積です。不動産鑑定評価のみならず、不動産の売買などでも面積を間違えてしまうと大きな問題があります。ただ、この公簿面積と実測面積に誤差がある土地は数多くあります。
なぜ誤差が生じるのか
誤差が生じている理由の一つとして、昔と現在の測量技術の違いがあげられます。昔に測量をし、登記されている土地を現在の技術で測量をした面積では誤差は生じてしまいます(昔は縄を利用して測っていたことがあるそうです)。ただ、公簿でも近年の測量技術で測量した面積の場合もあり、一概にすべてに誤差があるとは言えませんが、登記簿謄本がいつ測量をして登記されたのかや公図などを見ると誤差があるのではないかと推察することは出来ます。昔、農地や山林であった場所などは古い測量技術での公簿面積の可能性が大きいため、実測すると誤差が生じる可能性が高いです。また、地番に枝番が無いところや枝番の1番などは怪しいです。
※枝番:地番を構成する要素のひとつで「○○5番1」という地番があったとすると、最後の「1」の部分を指します。枝番はひとつの土地を分筆する際に、新たな土地(筆)に新しい枝番を付与します。今まで分筆などが行われていない場合は、枝番がない場合もあります。
面積(地積)の確認
現地調査の時は必ずメジャーを用いて測ります。土地家屋調査士さんの測量とは異なりますが、公簿と誤差がありそうな時はメジャーで測った結果をCADで求積し、誤差が大きそうな場合は、不動産鑑定評価をする前に測量を依頼する時があります。
2項道路
以前のブログに載せた「建築基準法上の道路とは?」と重複してしまいますが、改めて2項道路について紹介します。2項道路は、建築基準法第42条第2項の規定により、道路と「みなす」ことにされた道のことで「みなし道路」とも呼ばれます。建築基準法では、建築物の敷地は「建築基準法上の道路」に2m以上の長さで接していなければならないと定めていて、「建築基準法上の道路」は原則として幅が4m以上あることが必要とされています。しかし、幅が4m未満の道が数多くあり、次の1~3の条件を満たせば、その道を「建築基準法上の道路とみなす」という救済措置が設けられています(建築基準法第42条第2項)。
1.幅が4m未満の道であること
2.建築基準法が適用された際にその道に現に建築物が立ち並んでいたこと
3.特定行政庁(知事や市長)の指定を受けたことでの救済措置による道路のこと
これらを、その条文名をとって「2項道路」と呼んでいます。
この2項道路に面している土地については、原則として道路中心線から2m以内には建築ができないという制限のことです。
道路後退部分の求積
対象不動産が2項道路などに接しており、道路後退が必要な場合は、現地でのメジャー測定や役所調査によって道路後退の幅を確定し、CADによる求積によって、道路後退部分の面積(地積)を求めます。
都市計画道路予定区域
都市計画道路・都市計画公園等の計画区域内において建築物の建築をするときは、都市計画法第54条の基準による構造・階数の制限を受けることになり、同法第53条に基づく許可が必要になります。
都市計画法第54条による許可の基準(概要)
当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであること。
1、階数が2以下で、かつ、地階のないもの
2、主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、その他これらに類する構造のもの
よって、計画区域内の土地は通常通り利用することが出来なくなります。そのため、対象不動産が都市計画道路・都市計画公園等の計画区域内に指定されている場合は、現地でのメジャー測定や役所調査(測量図があれば役所で予定線を記入してもらえる時があります。)によって、CADによる求積をし、計画区域内部分の面積(地積)を求めます。
開発法(不動産鑑定評価等において土地の価格を求める手法の一つ)
更地の面積が近隣地域の標準的な土地の面積に比べて大きい場合等に、一体利用をすることが合理的と認められるときは、価格時点において、当該更地に最有効使用の建物が建築されることを想定し、販売総額から通常の建物建築費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除して得た価格、分割利用をすることが合理的と認められるときは、価格時点において、当該更地を区画割りして、標準的な宅地とすることを想定し、販売総額から通常の造成費相当額及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用を控除して得た価格を求める手法
分割分譲
対象不動産の最有効使用が分割分譲の場合、開発法を適用し、土地の価格を求めます。分割分譲ということは想定の区画割作成が必要となり、CADを使用します。
都道府県や市町村によって区画の大きさや道路の幅が異なり、十分な役所調査が必要となります。
高圧線下地
以前のブログに載せた「高圧線下の不動産の価格はどれだけ安くなる?」のなかでもご説明した通り、高圧線下地の不動産の価値は低くなってしまいます。建物の建築予定であれば、基本的に電力会社などが高圧線下地の測量、離隔距離の判定を行ってくれますが、不動産の調査が目的の場合は、現地調査や公図等から、CADによる求積をし、高圧線下地部分の面積(地積)を求めます。
最後に
当社ではCADを使用した図面作成代行サービスを行っております。
◆1枚/1,000円〜 + 実費(公図、地積測量図等)
・ セットバック(道路後退)予定区域図面
・都市計画道路予定区域図面
・想定整形地図面(影地割合の算出などにご利用いただけます)
・想定分割図面、想定等価分割図面
・高圧線下地図面
求積が必要な際は、お気軽にご相談下さい。