自然公園の確認方法
知床や屋久島といった我が国を代表する豊かな自然。これらは世界自然遺産として国際的に保護されているほか、国内では自然公園法に基づく国立公園として指定を受けています。自然公園法は、「優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与する」(自然公園法第一条)ことを目的にしています。自然公園は自然公園法に基づき指定される(前述の)国立公園(国が指定、管理)、国定公園(国が指定、都道府県が管理)、都道府県立自然公園(都道府県が指定、管理)の三つに区分されています。2022年時点では国立公園34ヶ所、国定公園58ヶ所、都道府県立自然公園310ヶ所となっています。
自然公園内では景観の保護や公園の利用について規制があります。普通地域とされるところでは建物の建築は届出制ですが、特別地域として指定された区域では改築や増築であっても許可制となっています。(第二十条3項)
また“公園”というと国や都道府県の土地なのかと思ってしまいますが、実は民有地も含まれているのです。実際の不動産鑑定評価でこういった土地が依頼されることはそうそうありませんが、「このあたりは自然公園の近くだったような…」という際は確認をします。確認には環境省の提供する環境アセスメントデータベース“EADAS” を使用します。
環境省「環境アセスメントデータベース“EADAS”」
https://www2.env.go.jp/eiadb/ebidbs/
データベースと名はついていますが実際には電子マップをクリックしていくだけで大丈夫です。データベースの知識は不要ですのでどうぞご安心ください。上記HPには操作ガイドも用意されています。なんと全55頁です。せっかちな方のために手順を記載しますのでご利用ください。※操作は2023年1月現在のものです。
① HPの「データベースを見る」をクリック
② 地理情報システム(GIS) 「地図を見る」をクリック
→ 電子マップが表示され、その上にいくつかのメニューウィンドウが表示される
③ 情報項目 表示設定ウィンドウの中の「全国環境情報」をクリック
→ 情報項目-全国環境情報ウィンドウが表示される
④ 「社会的状況」の「+」をクリック
⑤ 「環境の保全を目的とする法令等により指定された地域等(自然)」の「+」をクリック
⑥ 「自然公園区域~~」ではじまる3つの項目の右側「追加」をそれぞれクリック
これにより電子マップに自然公園区域の表示が重なりました。見たい地域まで画面を動かし自然公園区域の色が重なっているかを確認してください。もし色が重なっていたらその部分をクリックしましょう。公園の名称や区域名が表示されます。範囲に入っているかわかりづらい場合は管轄する都道府県等に相談してみてください。
自然公園に該当するかは不動産取引時の重要事項説明書にも記載があります。この欄にチェックが入っていると建物の再建築が難しい場合や、土地の利用に制限がある場合があります。過去に訴訟となったケースもありますのでよく確認しましょう。
ちなみに、環境アセスメントデータベース“EADAS”は自然公園以外にもさまざまな情報が確認できます。「さくら名所」や「日本100名城」といった観光マップのようなものから、日本周辺の海の水深を表示してくれるものもあります。陸地だけでなく海の中の情報まで見られるのが面白いですよ。