不動産の「類型」について

「類型」とは?

不動産鑑定評価では、不動産の「類型」を明確にする必要があります。不動産の「類型」とは「有形的利用及び権利関係の態様に応じて区分される不動産の分類」、つまり土地のみか建物があるのか、権利の設定の有無=自分で使用しているか人に貸しているかなど不動産のタイプによって分けたものです。

不動産鑑定評価基準における「類型」

「類型」は次の9種類に分類されます。

【宅地】

1、更地

建物等の定着物がなく、かつ、使用収益を制約する権利の付着していない宅地

2、建付地

建物等の用に供されている敷地で建物等及びその敷地が同一の所有者に属している宅地

3、借地権

借地借家法(廃止前の借地法を含む。)に基づく借地権(建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権)

4、底地

宅地について借地権の付着している場合における当該宅地の所有権

5、区分地上権

工作物を所有するため、地下又は空間に上下の範囲を定めて設定された地上権

【建物及びその敷地】

6、自用の建物及びその敷地

建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であり、 その所有者による使用収益を制約する権利の付着していない場合における当該建物及びその敷地

7、貸家及びその敷地

建物所有者とその敷地の所有者とが同一人であるが、建物が賃貸借に供されている場合における当該建物及びその敷地

8、借地権付建物

借地権を権原とする建物が存する場合における当該建物及び借地権

9、区分所有建物及びその敷地

建物の区分所有等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分並びに当該専有部分に係る同条第4項に規定する共用部分の共有持分及び同条第6項に規定する敷地利用権

国土交通省 不動産鑑定評価基準(平成26年5月1日一部改正)より一部抜粋

難しいことばが並んでいるように感じますが、いくつか例を挙げると・・・

・Aさんが所有する土地に建っているAさんが所有する建物にAさんが住んでいる場合の土地・建物(一戸建ての自宅)→6、自用の建物及びその敷地

・Bさんが所有する土地に建っているBさんが所有する建物が他人に賃貸されている場合の土地・建物(賃貸アパート、貸ビルなど)→7、貸家及びその敷地

・分譲マンション→9、区分所有建物及びその敷地

・Cさん(他人)に土地を貸していて、その土地にCさんが建物を建てて居住している場合の土地(地主が所有している土地)→4、底地

不動産の「類型」について簡単に紹介させていただきました。上記に挙げた例よりもっと複雑な場合もあると思います。「類型」は不動産鑑定評価書のはじめの方に記載され、重要な項目のひとつです。