2025年4月建築基準法の改正 その2
~小規模建築物「4号建築物」に関する見直し、新2号建築物と新3号建築物の新設~

建築物は建築基準法において法第6条において分類されていますが、法改正後は「新2号建築物」、「新3号建築物」という新区分が設定され、「4号建築物」は階数や延べ面積に応じて再分類されることになり、対象範囲が大幅に縮小されることとなりました。
これにより、「新2号建築物」については構造や省エネ性能等に関して審査や手続きがより厳格に求められるようになりました。
以下では、4号建築物から新2号建築物等に移行することによる主な変更点について、さわりだけでも簡単にご紹介したいと思います。

※1号建築物とは、法別表第1(い)欄の「特殊建築物」(学校、病院、百貨店、共同住宅、ホテル、飲食店、店舗、工場等)をいいます。

1.省エネ基準の適合義務化
ほぼすべての建築物で省エネ基準に適合するよう義務化され、省エネ基準適合による「適合性判定通知書」が交付されないと、確認済証が交付されず、着工できないようです。
2.都市計画区域外における建築確認申請の義務化
都市計画区域外は面積的には日本の7割程度を占めています。4号建築物は都市計画区域外では建築士が設計すれば新築時の確認申請は不要となっていましたが、新2号建築物では都市計画区域等の内外にかかわらず建築確認・検査の対象となったようです。
3.確認審査期間の延長が7日以内から35日以内に延長
4号建築物の建築確認に係る法定審査期間は7日以内でしたが、新2号建築物については35日以内となり、単純に5倍程度に延びることになります。
延長となった主な理由は、構造、省エネ基準等の審査項目の増加にあるようです。
4.構造図書と省エネ図書の提出義務化
審査項目の増加に伴って審査にあたっての提出書類も大幅に増加するようです。

5.検査済証なしでの使用開始が不可
新2号建築物では、工事完了後に完了検査に合格して検査済証が交付されるまで、建築物を使用してはならないという規定が明確化されました。
したがって、住宅への入居、店舗・事務所の営業開始や賃貸物件の引き渡しなど、建築物を実際に使用する行為がすべて禁止されることになったようです(仮使用許可は有り)。
違反した場合は建築基準法違反として処罰の対象となり、建築主には使用停止命令や改善命令が発せられる可能性があるようです。
参照・引用:都市整備部の地域機関 – 埼玉県、改正建築基準法 2階建ての木造一戸建て住宅等の確認申請・審査マニュアル|国土交通省、等
郊外で平家の新築住宅が増えてきたのも、やはり、建築費の高騰のみならず、本法改正の影響もあるのかもしれませんね。
当事務所では、不動産の鑑定評価のみならず、確認済証や検査済証の記録確認の観点等からの遵法性チェックといった調査報告書や意見書の作成なども行っておりますので、何なりとご相談いただければ幸いです。

