都道府県地価調査

全国の土地の価格を調べた「都道府県地価調査」が9月17日に公表されました。

令和3年2月の当社ブログ「公的土地評価(地価公示、都道府県地価調査、相続税路線価、固定資産税評価)って何?」参照

 

令和5年7月以降1年間の全国の地価にはどのような動きがあったのでしょうか。

 

《全国・東京圏・地方圏》

地方都市・観光地が全体を底上げ

 全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇幅が拡大しました。

今年は大都市圏だけでなく地方の都市や観光地などでも広く地価の上昇が見られ、地方圏のうち札幌、仙台、広島、福岡の「地方4市」を除いた地域で全用途平均プラス0.2%と、1992年以来、32年ぶりに上昇に転じました。

住宅地については、低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続しています。特に、都市部の利便性の高い地域を中心に住宅需要が堅調で、海外の富裕層などによる取引も活発となっているほか、リゾート地として知られる離島などに移住しようという動きも地価を押し上げました。

商業地については、コロナ禍と比べ働く人の出社する頻度が増えオフィス需要が高まっているほか、海外を含めた旅行者の増加で、観光地を中心にホテルや飲食店向けの土地の需要も急速に高まっています。

工業地については、eコマース市場の拡大による大型物流施設用地等に対する需要を背景として、高速道路等へのアクセスが良好な工業地では、引き続き高い上昇となった地点が見られます。

令和6年能登半島地震被災地をはじめ、災害で大きな被害を受けた地域では、地価が大きく下落しています。

 

全国で特徴的な動きを示した地点例

沖縄県恩納村

恩納-1(変動率:+28.9%→+29.0%)地価上昇率(住宅地)全国1位

恩納村真栄田地区では、ダイビングポイントなどの観光スポットに近く、移住等を目的とした県外からの旺盛な需要が継続しており、地価の高い上昇が継続しています。

長野県白馬村

白馬5-2(変動率:+27.3%→+30.2%)地価上昇率(商業地)全国4位

白馬村では、外国人を含めた観光客の回復により、ホテルやコンドミニアム用地の旺盛な需要が継続しており、地価の高い上昇が継続しています。

熊本県菊陽町・大津町・菊池市・合志市

菊陽-2(変動率:+21.6%→+14.2%)地価上昇率(住宅地)熊本県1位

大津5-1(変動率:+32.4%→+33.3%)地価上昇率(商業地)全国1位

大津5-301(変動率:— →+33.3%)地価上昇率(商業地)全国1位(同率)

大津9-1(変動率:+31.1%→+33.3%)地価上昇率(工業地)全国1位

菊陽町や大津町、菊池市、合志市では、令和3年11月に台湾の大手半導体メーカー(TSMC)が菊陽町への工場建設を発表して以降、関連企業も含めた従業員向けの住宅のほか、事務所や店舗、ホテル等の多岐にわたる旺盛な需要が継続しており、住宅地・商業地・工業地ともに地価の高い上昇が継続しています。

 

《埼玉県》

住宅地・商業地は共に3年連続で上昇、工業地は11年連続で上昇

住宅地については浦和駅、川口駅などの徒歩圏で生活利便性の高い地点

商業地については大宮駅周辺の繁華性の高い地点やマンション需要が高い地点

工業地については首都高、外環道に近い交通利便性の高い地点での地価上昇が顕著にみられます。

 

県内で特徴的な動きを示した地点例とその背景

住宅地では上昇率の上位10地点は、去年は都心に近い川口市がすべてを占めていましたが、今年は草加-7が+7.8%と2位に入りました。この調査地点の近くには昭和30年代の後半に多くの賃貸住宅が建設され「東洋一のマンモス団地」とも言われた「草加松原団地」がありましたが、建物の老朽化や住民の高齢化が課題となっていました。そこで団地を管理するUR都市機構は地元の草加市などと連携してこの20年ほど子育て世代の呼び込みにも力を入れて団地全体のリニューアルを進めています。かつて賃貸マンションだった敷地の一部を売却して子育て世代向けの分譲マンションの建設が順次進められているほか、戸建住宅のエリアも設けられ、公園や子育て関連施設等の整備といった、今後も続く開発への期待感から周辺の地価が上昇したものとみられます。

 

 

 

専門家への取材記事がありましたので掲載させていただきます。

 

 

〇専門家の意見 「上昇エリア 全国に広がっている」


住宅地・商業地 全国平均3年連続上昇

ここ数年、上昇していた地価が今回もさらに強まる動きになり、上昇しているエリアが全国に広がっている印象だ。日本経済が力強く回復していることの証ではないか。

 

今回の地価動向の分析

「住宅地」と「商業地」に分けてみた場合、「商業地」の伸びが全体を引き上げていた。その要因の1つが円安。海外からの旅行者がかなり増え、それに伴って地域の出店意欲が高まる好循環が生まれている。新たな働く場ができると周辺に住み始める人が出てくるので、こうした地域では時間差で「住宅地」の地価も上がっていく傾向にある。

 

リゾート地で上昇率が高まる傾向

もともと観光客にも人気のエリアだったが、年々インフラ整備が進み、住環境が整っていく中で、国内外の富裕層がセカンドハウス、サードハウスを持ちたいという需要を反映した結果ではないか。

 

都市部の特徴的な動きについて

全国的な上昇基調ではあるものの都市部での伸びがやはり大きい。資産性が高いとされる都心部のマンションなどを海外も含めた富裕層や投資家が買う動きが盛んで、東京・大阪・福岡の中心部で顕著だ。

 

住宅価格の上昇は続くのか

建築費の上昇や用地の不足で新築マンションの供給は減少を続けており、富裕層や投資家層の取引も活発なので、都心部においては、今後も上昇を続けるとみられる。一方で、郊外の都市などでは、すでに一般世帯が買える価格帯まで上がりきっており、価格が横ばいになる調整局面に入ったところも出てきている。

 

住宅価格への金利の影響は?

現状の利上げ幅では、価格が下がるほどの影響はないとみられるが、今後、金利がどこまで上がっていくか次第で局面は変わってくると思う。ただ、一部では、住宅ローンの変動型の金利を引き上げようという動きも出ており、住宅購入を検討している一般世帯にとっては判断が難しい状況。当然、月々の返済額も変わってくるので、購入を考える際には、今後、金利がさらに上がることに備えることも重要だ。

 

2024年9月17日NHK NEWS WEB より抜粋 

 

 

以上、最新の都道府県地価調査について簡単にご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

全国的に地価が上昇した今年の地価調査。移住や外資による開発、災害等、それぞれの地域で起きた様々なことが反映されています。

この機会に、お住いの地域の地価動向の推移を見てみるのもいいかもしれません。

 

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