不動産鑑定の活用方法
梅雨も明けて、夏本番の暑さが続いていますが、体調を崩されたりしていませんか。
今日は、不動産鑑定の活用方法についてお話ししたいと思います。
1.不動産鑑定、不動産調査、不動産査定の違い
所有している不動産の価値を正しく把握していないと、売買、賃貸借などで適正な不動産の運用ができなかったり、遺産相続時に争いが生じる可能性があります。
不動産の価値を知るには、不動産鑑定や不動産調査、不動産査定がありますが、以下のような違いがあります。
・不動産鑑定とは、国家資格の不動産鑑定士が行い、公的な機関でも採用されます。
・不動産価格等調査とは、不動産鑑定士が行いますが、鑑定評価基準に則っていないため、課税当局・調停・裁判等への提出はできません。
・不動産査定とは不動産会社が過去の取引等から売却可能な価格を査定するもので、不動産会社によって見積額は異なることがあります。
2.不動産鑑定とは
「不動産の鑑定評価に関する法律」第2条第1項には、「不動産の鑑定評価とは、不動産(土地若しくは建物又はこれらに関する所有権以外の権利をいう。)の経済価値を判定し、その結果を価額に表示することをいう。」とあります。
そして、鑑定評価書には、鑑定評価額その他国土交通省令で定める事項を記載し、その不動産の鑑定評価に関与した不動産鑑定士がその資格を表示して署名します。
国家資格をもつ専門家が、国の定める不動産鑑定評価基準に則って作成した鑑定評価書は適正な評価額が公的に求められる裁判所、税務署、金融機関等に提出することができます。
3.個人で不動産鑑定が必要な場合
①不動産の売買
不動産を売買する際に適正な価格を知っておけば、高すぎる購入や安すぎる売却によるトラブルを防ぎ、安心して取引をすることができます。
②不動産の賃貸借
不動産の賃貸人もしくは賃借人が賃料の値上げ交渉もしくは値下げ交渉をする際に適正な賃料を把握することで、交渉をスムースにすることができます。
また、新たな賃貸借を始めるときの適正賃料を知ることができます。
③相続財産・財産分与の適正価格の把握
相続が発生し、遺産分割が必要な時、離婚で財産分与が必要な時、適正価格を知ることで、土地・建物の公平な分割をすることが可能となります。
4.法人で不動産鑑定が必要な場合
①不動産の売買
法人と経営者間において不動産を売買する場合、経営者個人が所有する不動産を適正価格よりはるかに高い金額で法人に譲渡、又は、法人の不動産を経営者個人にはるかに低い金額で譲渡すれば、その差額が課税対象となります。適正価格を知ることにより、予想外の課税を防ぐことができます。
②不動産の時価評価
減損会計、賃貸等不動産、債券の評価など
③不動産の証券化
不動産証券化では不動産の取得または譲渡の際には不動産鑑定士による鑑定評価が義務付けられています。
④不動産を担保にする
不動産を担保として、資金の借り入れを行いたいとき、限度額の予測が可能となったり、金融機関等の担保価値との比較ができます。
全ての場合に不動産鑑定が必要となるわけではありません。最初にお話しした不動産鑑定と不動産調査では係る費用も異なります。不動産鑑定評価書が必要か必要ないか迷っている場合でもまずはご相談ください。